問題
製油所における石油精製装置に関する次の記述のうち,不適切なものはどれか。
① 常圧蒸留装置は,原油を常圧にて蒸留し,LPG、ナフサ、灯油、軽油、常圧残油などの各留分に分けるものである。
② 減圧蒸留装置は,常圧残油を減圧下で蒸留し,潤滑油原料,間接脱硫原料,分解原料,アスファルト又は減圧残油などに分けるものである。
③ 流動接触分解装置は,触媒を用いて沸点の高い重質炭化水素を分解し,LPG留分,ガソリン留分及び中間留分を得るものである。
④ アルキレーション装置は,プロピレンやブチレン等の不飽和炭化水素とイソブタンのような側鎖を持つ炭化水素を反応させて,オクタン価の高い生成物(アルキレート)を得るものである。
⑤ 接触改質装置は,軽質ナフサを原料とし,芳香族を高濃度に含む改質ガソリン(リフォーメート)を製造するものである。
【引用】公益社団法人日本技術士会「過去問題(第一次試験)」ページ内掲載資料( https://www.engineer.or.jp/c_topics/009/attached/attach_9917_7.pdf、2025年5月9日アクセス)
解答
①:常圧蒸留装置では、原油を常圧下で加熱し、留分(LPG、ナフサ、灯油、軽油、常圧残油)に分離する。記述は正しい。
②:減圧蒸留装置では、常圧残油を加熱・減圧蒸留することで潤滑油原料やアスファルト、分解原料などに分ける。正しい。
③:流動接触分解(FCC)では、重質油を流動触媒存在下で分解し、LPG、ガソリン、中間留分を得る。正しい。
④:アルキレーション反応では、イソブタン(飽和炭化水素)とオレフィン類(プロピレンやブチレンなどの不飽和炭化水素)を反応させるが、イソブタンは「側鎖を持つ炭化水素」ではなく、直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素であるため、記述が不適切。
⑤:接触改質装置は、軽質ナフサを白金系触媒存在下で処理し、芳香族や異性化物を含む改質ガソリンを生成する。記述は正しい。
答え ④