問題

有機ハロゲン化物の構造と反応に関する次の記述のうち,適切なものはどれか。

① 2-ペンテンを出発物質として,光照射下で N-ブロモスクシンイミド(NBS)を作用させると、1-ブロモ-2-ペンテンを選択的に合成することができる。

② 下図の物質のIUPAC 名は 5-ブロモ-2-メチルヘキサンである。

③ R-CH=CH₂(R:アルキル基)に NBS を作用させるとアリルラジカルが生成するが、アリルラジカルのスピン密度はアリル基の真ん中の炭素上に局在化している。

④ 過酸化物存在下でイソブテンに HBr を作用させると、2-ブロモ-2-メチルプロパンが得られる。

⑤ ハロゲン化アルキル中の炭素−ハロゲン(C−X)結合は極性であり、そのためハロゲン化アルキルは双極子モーメントをもち、極性反応において C−X の炭素原子が求電子中心として機能する。

【引用】公益社団法人日本技術士会「過去問題(第一次試験)」ページ内掲載資料( https://www.engineer.or.jp/c_topics/009/attached/attach_9917_7.pdf、2025年5月9日アクセス)

解答

①:2-ペンテンとNBSの反応はアリル位選択的なラジカル置換を与えるが、主生成物は3-ブロモ-2-ペンテンである。誤り。
②:構造式 CH₃CHBrCH₂CHBrCH₂CH₃ は 2,5-ジブロモヘキサンであり、「2-メチル」ではない。誤り。
③:アリルラジカルではスピン密度は共鳴により末端の2つの炭素に分布し、中央には局在しない誤り。
④:HBrとイソブテンの反応において過酸化物存在下ではラジカル反応となり、マルコフニコフ則に反する生成物(1-ブロモ-2-メチルプロパン)が得られる。選択肢は構造が一致せず、誤り。
⑤:C−X結合は炭素がδ+、ハロゲンがδ−を帯びるため、Cは求電子中心として機能し、ハロゲン化アルキルは極性化合物である。正しい。

答え