問題
地球温暖化に関する次の記述のうち,不適切なものはどれか。
① 近年,人間活動の拡大に伴い,二酸化炭素,メタン,一酸化二窒素,代替フロン類等の温室効果ガスが大量に大気中に排出されることで,地球温暖化が進行していると言われている。特に二酸化炭素は,化石燃料の燃焼等によって膨大な量が人為的に排出されている。我が国が排出する温室効果ガスのうち,二酸化炭素の排出は全体の約91%を占めている。
② 我が国の温室効果ガス総排出量は,2018年度から2020年度まで3年連続で過去最少を更新していたが,2021年度は前年度より増加した。
③ 2021年度の我が国の二酸化炭素排出量は,発電などのエネルギー転換部門が最も大きく,次いで産業部門,運輸部門の順になっている。
④ クロロフルオロカーボンに代表されるオゾン層破壊物質は,「特定物質等の規制等によるオゾン層の保護に関する法律」に基づき規制が行われている。このため,温室効果が高い代替フロンに置き換えが進んでいるが,その排出量は増加の傾向にある。
⑤ 2016年,すべての国が参加する温室効果ガス排出量削減等のための新たな国際枠組みである「パリ協定」が発効し,我が国も締結した。「パリ協定」では,産業革命前からの地球の平均気温上昇を5℃より十分下方に抑えるとともに,2℃に抑える努力を追求することが設定された。
【引用】公益社団法人日本技術士会「過去問題(第一次試験)」ページ内掲載資料( https://www.engineer.or.jp/c_topics/009/attached/attach_9917_7.pdf、2025年5月9日アクセス)
解答
①:日本における温室効果ガス排出のうち、CO₂が約91%を占めるという記述は正しい。
②:2021年度にはコロナ禍からの経済回復で排出量が増加したが、それまでの3年間は連続して減少していた。正しい。
③:発電などのエネルギー転換部門が最大であり、次いで産業、運輸部門が続くという記述は統計に基づいており、正しい。
④:オゾン層破壊物質であるCFCは法律で規制されており、現在は代替フロン(HFCなど)に置き換えが進んでいる。これらの排出量は増加傾向にある。正しい。
⑤:「パリ協定」で掲げられた温度目標は、「産業革命前からの気温上昇を2℃より十分下方に抑え、1.5℃に抑える努力を追求すること」であり、「5℃より下方」という記述は明らかに誤り。
答え ⑤