問題
分子の電子遷移過程の間で,各原子の位置が変化しないことを示す最も適切なものはどれか。
① ボルン–オッペンハイマー近似
② カッシャの規則
③ フランク–コンドンの原理
④ デクスター機構
⑤ ランベルト–ベールの法則
【引用】公益社団法人日本技術士会「過去問題(第一次試験)」ページ内掲載資料(
https://www.engineer.or.jp/c_topics/010/attached/attach_10606_7.pdf、2025年5月9日アクセス)
解答
①:ボルン–オッペンハイマー近似は、分子の波動関数を核と電子の運動に分けて近似する手法であり、「電子運動は原子核よりもはるかに速い」と仮定するが、電子遷移時の原子位置の不変性を直接的に表すものではない。
②:カッシャの規則は、分子が最低励起一重項または三重項準位から発光する傾向があることを示すものであり、本設問の主旨と無関係である。
③:フランク–コンドンの原理は、「電子遷移は非常に速く起こるため、遷移の瞬間における原子核の位置は変化しない」とするものであり、設問の記述に合致する。
④:デクスター機構は、励起エネルギーの電子交換による移動を扱う機構であり、原子位置に関する記述とは異なる。
⑤:ランベルト–ベールの法則は、吸光度と濃度・光路長の関係に関する法則であり、本設問の主旨とは無関係である。
したがって、最も適切なものは③フランク–コンドンの原理である。
答え ③