問題

赤外線吸収スペクトル法での測定結果として得られる IR スペクトルに関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。

① IRスペクトルは水素と炭素の近傍の構造を精査し,分子内の原子のつながりに関する情報を提供する分析法である。
② IRスペクトルは化合物のπ電子系について情報が得られ,共役化合物と非共役化合物を判別できる分析法である。
③ IRスペクトルは試料分子を高真空のもとで加熱気化させてイオン化し,電磁気的に分離して検出する分析法である。
④ IRスペクトルは電荷を持つ物質を直流電場におき,物質の電荷,分子の大きさによって移動する差を検出する分析法である。
⑤ IRスペクトルは固有の振動をしている分子に赤外線を照射し,振動エネルギーに対応したスペクトルを得る分析法である。

【引用】公益社団法人日本技術士会「過去問題(第一次試験)」ページ内掲載資料( https://www.engineer.or.jp/c_topics/010/attached/attach_10606_7.pdf、2025年5月9日アクセス)

解答

①:IRは化学結合の振動に対応した情報を与えるが、水素と炭素の「近傍構造」を精査するというのは不正確。NMRの説明に近い。
②:共役系の存在はIRでは明確に識別しにくく、π電子系の情報は主にUV-Visスペクトルで得られる。
③:これは質量分析(MS)の説明であり、IRとは無関係。
④:これは電気泳動やイオンクロマトグラフィーのような分離分析の説明。IRとは異なる。
⑤:IR(赤外吸収)スペクトル法は、分子の振動と赤外線の相互作用に基づく分析法であり、結合の種類や官能基に関する情報を提供する。** → 正しい。

したがって、最も適切なものは⑤である。

答え