問題

再生可能エネルギーに関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 水力発電は,純国産で,渇水の問題を除き,天候に左右されない優れた安定供給性を持つ。揚水式については,再生可能エネルギーの導入拡大に必要な調整電源として,今後は重要な役割が期待される。

② 風力発電は,風車の大型化,洋上風力発電の拡大等により,国際的に価格低下が進んでいることから,我が国においても今後の導入拡大が期待される。特に洋上風力は,大量導入やコスト低減が可能であるとともに,経済波及効果が大きいことから,再生可能エネルギーの主力として期待されている。

③ 太陽光発電は,これまで再生可能エネルギーの主力として導入が拡大し,事業用太陽光は,発電コストも着実に低減している。一方,大規模開発だけでなく,個人の自家消費や地産地消を行う分散型エネルギーリソースとして,電力レジリエンスの観点でも期待されている。

④ 地熱発電は,世界屈指の地熱資源量を誇る我が国では安定的なエネルギー源であり,発電後の熱水利用など多段階利用も期待できる。一方,開発にはコストがかかるため,中長期的な視点を踏まえた持続可能な開発を進めていくことが必要である。

⑤ 木質バイオマスを始めとしたバイオマス発電・熱利用などは,エネルギー利用可能な木質や廃棄物などバイオマス資源が無限に手に入ることから,災害時のレジリエンスの向上,地域産業の活性化を通じた経済・雇用への波及効果が大きいなど,地域分散型,地産地消のエネルギー源として多様な価値を有するエネルギー源とされている。

【引用】公益社団法人日本技術士会「過去問題(第一次試験)」ページ内掲載資料( https://www.engineer.or.jp/c_topics/010/attached/attach_10606_7.pdf、2025年5月9日アクセス)

解答

①~④の記述は、それぞれの再生可能エネルギーの特性・現状・課題を正しく反映している。特に、揚水式水力発電の調整電源としての価値や、洋上風力の導入可能性、分散型太陽光の役割などは妥当である。

⑤の記述にある「**バイオマス資源が無限に手に入る**」という表現は明らかに誤りであり、再生可能とはいえ、成長期間や供給量に限界があるバイオマス資源が**有限であること**を無視している。
したがって、この記述が最も不適切である。

答え