問題

Markovnikov則に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① Markovnikov付加は位置選択的である。
② アルケンにオキシ水銀化−脱水銀によってアルコールを合成する反応は2段階で生じ,Markovnikov則に従う。
③ Markovnikov則とは,アルケンにハロゲン化水素HXが付加するとき,水素はより多くの水素を持つ炭素原子に付加するという規則である。
④ アルケンへの酸触媒水和は,Markovnikov則に従うので,エテンの水和のような特別な場合を除いて,第一級アルコールを得ることはできない。
⑤ アルケンへの酸触媒水和反応は,一段階の反応機構で進行する。

【引用】公益社団法人日本技術士会「過去問題(第一次試験)」ページ内掲載資料( https://www.engineer.or.jp/c_topics/010/attached/attach_10606_7.pdf、2025年5月9日アクセス)

解答

①:Markovnikov則は、付加反応の際の位置選択性(regioselectivity)を示すものであり、正しい記述。
②:オキシ水銀化−脱水銀反応は二段階(付加と還元)から成り、Markovnikov則に従う生成物(中間炭陽イオン安定性に従う)を与える。正しい。
③:定義として正しく、「水素は水素の多い炭素に付加する(より安定なカチオンが中間体)」という法則。正しい。
④:酸触媒による水の付加はMarkovnikov則に従うため、第一級アルコールの選択的合成は困難(エテンなど例外あり)。正しい。
⑤:**酸触媒水和反応は、中間体としてカルボカチオンを経由する三段階反応機構(付加 → カチオン生成 → 求核攻撃)**である。一段階ではない。→ **誤り**

したがって、最も不適切なものは⑤である。

答え