問題
m-ブロモクロロベンゼンをニトロ化した。主生成物として,最も生成量が多いものは,次のうちのどれか。

① 2-ブロモ-4-クロロ-1,3,5-トリニトロベンゼン
② 1-ブロモ-3-クロロ-2-ニトロベンゼン
③ 4-ブロモ-2-クロロ-1-ニトロベンゼン
④ 2-ブロモ-4-クロロ-1-ニトロベンゼン
⑤ 1-ブロモ-3-クロロ-2,4-ジニトロベンゼン
【引用】公益社団法人日本技術士会「過去問題(第一次試験)」ページ内掲載資料( https://www.engineer.or.jp/c_topics/010/attached/attach_10606_7.pdf、2025年5月9日アクセス)
解答
本問題では、m-ブロモクロロベンゼンの芳香族求電子置換反応(ニトロ化)における**配向性の影響**を考える必要がある。
- Br(ブロモ基)はハロゲンであり、求電子置換反応に対してオルト・パラ配向性を持つ。
- Cl(クロロ基)も同様にオルト・パラ配向性を持つ。
m-ブロモクロロベンゼンでは、2つの置換基がメタ位に存在するため、互いのオルト・パラ配向が重なり合う位置(交差部位)での置換が最も進行しやすくなる。
この構造において、**1位にブロモ基、3位にクロロ基**があると仮定した場合、両者の配向が一致する5位にニトロ基が導入されやすい。
この構造に対応するのが、
④:2-ブロモ-4-クロロ-1-ニトロベンゼン (= ブロモ1位、クロロ3位、ニトロ5位)である。
したがって、最も生成量が多い主生成物は④である。
答え ④