問題
次の記述の [A] ~ [E] に入る語句の組合せとして最も適切なものはどれか。
一方の末端が有機酸でもう一方の末端がアルコールである2官能性のモノマーが、重合する過程を考える。反応前の系の分子数を N0 とすると、重合が進行し反応度が p となった時点の系中の分子数 N は、[A] となる。このとき数平均重合度 Pn は N0 / N で表されるから、反応度 p を用いて Pn = [B] となる。反応度 p は、有機酸がアルコールと反応し結合を形成する確率とも考えられる。n 量体分子が形成される確率は、n – 1 回 有機酸とアルコールが反応し、最後の n 回目 は反応しなかった確率の積で表されるから pn-1 x ( 1 – p ) となる。したがって、反応度が p の時点での n 量体の分子数を Nn とすると、Nn = [C] となる。 ここで N = [A] の関係を用いた。n 量体の重量分率wn は n Nn / N0 であるから、 wn = [D] となる。この分布は [E] と呼ばれる。
A | B | C | D | E | |
① | N0 p | 1 / p | N0 pn-1 ( 1 – p ) | n pn-1 ( 1 – p ) | 正規分布 |
② | N0 p | 1 / p | N0 pn-1 ( 1 – p )2 | n pn-1 ( 1 – p )2 | 最も確からしい分布 (Flory分布) |
③ | N0 ( 1 – p ) | 1 / ( 1 – p ) | N0 pn-1 ( 1 – p )2 | n pn-1 ( 1 – p )2 | 正規分布 |
④ | N0 ( 1 – p ) | 1 / ( 1 – p ) | N0 pn-1 ( 1 – p ) | n pn-1 ( 1 – p ) | 最も確からしい分布 (Flory分布) |
⑤ | N0 ( 1 – p ) | 1 / ( 1 – p ) | N0 pn-1 ( 1 – p )2 | n pn-1 ( 1 – p )2 | 最も確からしい分布 (Flory分布) |
解答
高分子の反応に関する問題。
[A] は未反応の分子数。反応度(度なので割合)は p なので、未反応の割合は ( 1 – p )となる。よって、未反応の分子数は、 N = N0 ( 1 – p ) となる。
[B] は数平均重合度。[A] で N = N0 ( 1 – p ) と求めており、問題文では Pn = N0 / N と計算式を与えられているので、代入すると、Pn = 1 / ( 1 – p ) となる。
[C] は反応度が p の時点での n 量体の分子数 Nn 。[A] で N = N0 ( 1 – p ) と求めており、これに確立 pn-1 x ( 1 – p ) を掛けることで、反応度が p の時点での n 量体の分子数が求まる。よって、Nn = N0 pn-1 ( 1 – p )2 。
[D] はn 量体の重量分率。n 量体の重量分率 は問題文で wn = n Nn / N0 と式が与えられており、これに [C] で求めた Nn = N0 pn-1 ( 1 – p )2 を代入すると、wn = n pn-1 ( 1 – p )2 と求まる。
[D] で求めた wn = n pn-1 ( 1 – p )2 は Flory分布 と呼ばれる。
よって ⑤ が答えとなる。
答え ⑤