問題
ベンゼン 70 mol% ー トルエン 30 mol% の混合液を 85 kmol h-1 で供給し、連続精留を行う。軽質成分は、塔頂からの留出液として 98 mol% 、塔底からの缶出液として 3 mol% の液を製品として得る場合、留出液量に最も近い値はどれか。
ただし、ベンゼンとトルエンの標準沸点をそれぞれ 353.2 K、383.8 Kとする。
① 30 kmol h-1
② 40 kmol h-1
③ 50 kmol h-1
④ 60 kmol h-1
⑤ 70 kmol h-1
解答
精留塔の物質収支に関する問題。
軽質成分はベンゼン(ベンゼンの標準沸点 < トルエンの標準沸点 より)である。このベンゼン、及び、精留塔全体について物質収支をとり、計算により解を求める。
与えられている運転条件の精留塔を模式的な図とすると以下の通りとなる。
この図に沿ってベンゼン、及び、精留塔全体について物質収支をとると以下の通りとなる。
F = D + W ・・・ 全体の物質収支式
FxFB = DxDB + WxWB ・・・ ベンゼンの物質収支式
この2つの式に対し未知数は D:留出液流量 、及び、 W:缶出液流量 の2つなので、連立方程式により D についての式を以下の様に導く。
1.ベンゼンの物質収支式を変形する
W = F (xFB / xWB) ー D (xDB / xWB)
2.上記の式を全体の物質収支式に代入する
F = D + F (xFB / xWB) ー D (xDB / xWB)
3.Dについて解く(導出終了)
D = F[(xWB ー xFB) / (xWB ー xDB) ]
求めた式に問題文にある以下の値を代入する。
混合液流量 F = 85 kmol h-1
缶出液中ベンゼン組成 xWB = 0.03
混合液中ベンゼン組成 xFB = 0.70
留出液中ベンゼン組成 xDB = 0.98
D = F[(xWB ー xFB) / (xWB ー xDB) ]
= 85[(0.03 ー 0.70) / (0.03 ー 0.98) ]
= 59.94
≒ 60 kmol h-1
以上より ④ 60 kmol h-1 が解答となる。
答え ④ 60 kmol h-1