問題

カルボニル基に対するHCNの付加は可逆反応である。芳香族アルデヒドにHCNが付加してシアノヒドリン類が生成する反応 a)〜c)を、平衡定数(K)の大きい順に並べたものはどれか。ただし、平衡定数(K)は、一定条件(20℃、96%エタノール中)で、次の式で定義される。

K = [シアノヒドリン] / ([芳香族アルデヒド] × [HCN])

① a > b > c
② a > c > b
③ b > c > a
④ b > a > c
⑤ c > b > a

【引用】公益社団法人日本技術士会「過去問題(第一次試験)」ページ内掲載資料(
https://www.engineer.or.jp/c_topics/010/attached/attach_10606_7.pdf、2025年5月9日アクセス)

解答

HCNの付加反応では、カルボニル基の電子不足性が高いほど反応が進みやすく、平衡定数Kが大きくなる。すなわち、電子供与基が付いたアルデヒドはカルボニル基の電子不足性を弱め、付加反応が起こりにくくなる。

a)はベンズアルデヒドで基準的な電子状態。
b)はp-ジメチルアミノ基という強い電子供与基を持つため、電子密度が高く反応性が最も低いように思われるが、実際には芳香環の電子供与によりカルボニル基の安定性が下がり、Kは比較的大きくなる。
c)はp-メトキシ基を持ち、電子供与性を示すため、bよりもやや反応性が劣る。

実験的事実として、平衡定数Kは b > a > c の順となる。

答え