問題

アセチレン(エチン)に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 炭素同士は,sp混成軌道で結合している。
② アセチレンの炭素−炭素結合距離は,エタンのそれより短い。
③ アセチレンの炭素−炭素三重結合の結合力は,エタンの炭素−炭素単結合の結合力より強い。
④ アセチレンの水素は,エチレン(エテン)のそれより酸性であるため,pKa値はより大きな値を示す。
⑤ 炭素−炭素三重結合は,2つのπ結合と1つのσ結合からなっている。

【引用】公益社団法人日本技術士会「過去問題(第一次試験)」ページ内掲載資料(
https://www.engineer.or.jp/c_topics/010/attached/attach_10606_7.pdf、2025年5月9日アクセス)

解答

①:アセチレン(C≡C)は直線構造をとり、各炭素はsp混成軌道を用いてσ結合を形成する。正しい。
②:炭素−炭素三重結合は、単結合より結合距離が短い。エタン(単結合)より短いのは正しい。
③:三重結合は単結合よりも結合エネルギーが高く、強い結合である。正しい。
⑤:三重結合は1つのσ結合と2つのπ結合からなる。記述通りである。

④:アセチレンの水素(C−H)は、sp混成軌道にあるため酸性度が高く、pKa ≈ 25。
エチレン(sp2混成)の水素のpKa ≈ 44 より酸性度が高い。**酸性度が高いほど pKa は小さい。**
よって「pKa値はより大きな値を示す」という記述は誤りである。

したがって、最も不適切なものは④である。

答え