問題

硫黄および硫黄化合物に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

① 二酸化硫黄を水に溶かした亜硫酸は弱酸性を持ち還元剤として作用する。
② 熱濃硫酸には強い酸化作用があり,希硫酸は強い酸性を示す。
③ 硫黄は,ゴムに添加して分子間の架橋による網目構造を形成するために使用される。
④ 硫黄単体には,斜方晶系,単斜晶系のような同素体が存在する。
⑤ 接触法硫酸製造でのSO₂からSO₃への転化は吸熱反応で,五酸化バナジウム主体の触媒を使う。

【引用】公益社団法人日本技術士会「過去問題(第一次試験)」ページ内掲載資料(
https://www.engineer.or.jp/c_topics/010/attached/attach_10606_7.pdf、2025年5月9日アクセス)

解答

①は正しい。二酸化硫黄(SO₂)は水に溶けて亜硫酸(H₂SO₃)を形成し、還元性を持つ弱酸である。
②も正しい。希硫酸は強酸であり、熱濃硫酸は酸化剤としても働く。
③は加硫ゴムの説明であり、硫黄を用いて架橋構造を形成することで弾力性を持たせる処理に関する記述であるため、正しい。
④も正しい。硫黄は斜方硫黄(S₈)や単斜硫黄などの同素体を持つ。

⑤は誤りである。接触法によるSO₂からSO₃への酸化反応(SO₂ + 1/2 O₂ → SO₃)は発熱反応である。したがって、「吸熱反応」とする記述は誤りである。

よって、⑤が誤っている記述である。

答え